個人的に所有する不動産をどうするかに関心を持つようになっている上に、マイナス金利時代を迎え、支援する企業の多くがその影響を被ろうとしている。
そんな中、WBSの独自調査「不動産業界の暗部」が注目すべき内容だ。第1弾は2015年5月の「物件の囲い込み」だった。不動産仲介会社が物件情報を共有する共通データベース「レインズ」に載せている物件に対し、他社からの問い合わせがあっても「商談中」とウソをつき紹介をしないことを指す。
囲い込みが行われるのは、売却物件について、自社で買い手を見つけると他社からの買い手に売却するより手数料が増えるためだ。悪質なケースでは物件が値下がりしても、自社の買い手に拘り、囲い込みを続けることがある。最も被害を受けるのは売り主だ。この囲い込み行為は業界の長年の悪弊で、WBSの独自調査でもその疑いが深まるばかりだった。政治家からも囲い込みをなくす動きがようやく始まったはずだったが、日経ビジネスの最近号でも同様の記事が載っていたところをみると、あまり実態は変わっていないようだ。
WBSの第2弾「おとり物件」が昨夜放送された。これは賃貸物件などで「成約済み物件」を「空き物件」と偽り、客を店に呼ぶ手法のこと。宅建業法や景品表示法に違反している。番組によると、都内の不動産会社ラインズマンは自社の管理物件の中で「募集を終えた物件」を不動産情報サイトに無断掲載された。ラインズマンは、これを掲載した業者ネクサス・ジャパンをブログで告発。この会社はWBSの取材に「認識の甘さで引き起こされた事態で深く反省。全件再確認で再発防止に努める」と回答。またネクサス・ジャパンが看板を掲げる「アパマンショップ」の本部は「再発することが無いよう加盟企業への指導を強化する」と答えたそうだ。
番組にコメントを求められたラインズマンの門傳社長は、おとり物件にだまされないためには「見たい物件を現地待ち合わせにすること」と答えている。またベンチャー企業の「イタンジ」が手がけるノマドでは、個人がおとり物件を調べられる機能があるという。これは使っておくべきと感じた。
それにしても、こうした一部の例外を除き、この業界の体質はなかなか変わらないものだと愕然とする。