東京の不動産は明らかに2極化している。しかもその沸騰サイドは明らかにバブルの異常さを示している。
その様子の一端を示す話が、5月19日(木)放送の「クローズアップ現代」で放送された。題して「追跡!タワマン「空中族」~不動産“バブル”の実態に迫る~」。何とも不思議な事態が進んでいることが分かった。
番組では、都心のタワーマンションに代表される高級物件の購入と転売を繰り返し、値上がり益を手にする「空中族」と呼ばれる人たちが増えているというのだ。しかし富を築く空中族の正体は富裕層では全くなく、実は平均より少し給与が多いだけの給与生活者が大半だというのだ。
東京オリンピックや金融緩和などを追い風に、局地的な右肩上がりを続けてきた東京の不動産市場。新築マンションの平均価格は去年、リーマンショック前の価格を超え、かつてのバブル期の水準にまで近づいているという。この上昇気流をけん引しているのが、都心の好立地に、集約した戸数で次々と建設されるタワーマンションだ。
空中族は、販売後も値上がりが見込める最新のタワーマンションに移り住み、短期間で売却。
値上がり益を元手に、より高額な物件に住み替える。これを次々と繰り返していくという、何とも危ない実態がそこにはある。解説者の一人がいみじくも指摘していたように、「投資というよりは投機的な臭い」を感じざるを得ない。
そして2極分化的な傾向も明確だ。都心の商業地たる港、中央、千代田の3区だけが突出して上がっていて、同じ東京でもほかの地区はほぼ上がらず、ましてやその他の地方はどんどん下がっている。住民の平均所得の格差も、港区が最高で1,200万円を超えているのに、熊本のある村は200万だという。非正規の人は、全くこういう不動産投資・投機には縁がない。完全に日本も格差社会になっていることがよく分かる話だ。
そんな2極分化の格差社会で有利な立場を確保するための行動が「空中族」の方策なのだ。以前は不動産投資といえばお金持ちの方が節税のために不動産に投資するというパターンが多かったのだが、今は必ずしもそうではないのだ。給与もなかなか上がらない中で、虎の子の資金を出来る限りうまく運用したいという人たちが不動産投資をする中で、「空中族」という投資パターンがあるのだということだ。何か物悲しい話だ。