キャッシュレス詐欺・返金詐欺にご用心

社会制度、インフラ、社会ライフブログ

コード決済の利用は急増しています(2023年の決済額は10.9兆円)。この便利な仕組みの陰で詐欺被害が広がっています。特に巧妙で用心すべきなのが「○○Pay」を使った“返金詐欺”と呼ばれる新たな手口です。

手口はこんな感じです。

まず小規模な通販サイトで見つけた格安な商品を注文するとします。代金を支払ったあなたは商品が届くのを楽しみに待っていますが、やがて業者から「商品が欠品しているのでキャンセルとなります。代金を返金するので手続きしてください」とメールが届きます。

そこからはやり取りがLINEに移ったりします(頻繁なやり取りをするためでしょう。詐欺師はLINEが大好きです)。返金方法としてPayPayなどのコード決済が指定されます。その後も相手からは「何度試しても返金ができない」というメッセージが続き、あなたは段々いらだちと焦りを覚えます。

販売元だという別人からの電話への応対なども交えたり、LINEでの指示により口座情報など個人情報を教えさせられたり色々な操作で数値入力させられた挙句、相手からQRコードが送られてきます。

コードを読み取ると、知らないアカウント(典型的には公営ギャンブルサイトや電子マネー購入サイト)に支払うための画面が表示されており、金額欄には返金額よりかなり大きな数字がすでに打ち込まれており、ボタンを押すよう指示されます。

「なぜ支払?」と不審がるあなたは相手に「これ、押していいのですか?私が支払うことにならないですか?」と確認します。相手は少しカタコトの日本語で「いや大丈夫です。それ、私たちが返金するための手続きなので」としつこく薦めてきます。返金してもらいたい一心のあなたはついボタンを押してしまう…。

こんな感じで返金額の数倍から十数倍の金額が騙し取られているのです(ボタンを押す行為を複数回させることで金額も増える)。最初の商品を買った通販サイトは“偽サイト”、商品販売者の住所はでたらめです。当然、元々の振り込み額の返金はなし、「○○Pay」への支払をしてしまった分も返ってきません。

上記を文字で追うだけなら「こんな手口に引っ掛かるほうがおかしい」と客観的に考えることもできるでしょう。でも相手は詐欺師です。言葉巧みにあなたを焦らせ、平常心ならあり得ない「よく分からないまま相手のいう通りにスマホを操作」させられ、あなたはポチっと押してしまうのです。

この詐欺のポイントはQRコードです。一見、何が記載されているか分からないままに支払画面まで誘導されてしまうのです。特殊詐欺で高齢者が、事態を呑み込めないままATMに誘導されてしまうのと同じです(むしろ詐欺師にとっての時間効率は遥かにいいでしょう)。そこから、相手のいう通りにボタン操作するのも同じパニック心理です。

さて、あなたは同じような手口に引っ掛からない自信がありますか?(あると答えた人のほうが類似の詐欺に掛かりやすいそうです)。怖い時代です…。