1月4日(土)に放送された「ドキュメンタリーWAVE」は「「中国の農業を改革せよ~密着 オランダ“アグリ革命”」。オランダで開発された最先端の技術がアジア、特に中国の農業を大きく変えようとしている様子を伝えてくれました。
光、温度、CO2などをハウス内でコンピューター管理し、トマトなどの野菜を大量に作り出すことができるハイテク農業です。ハイテクハウスを使ったアグリ革命はすでに世界各地で起き始めています。その震源地はオランダです(以前にもこの欄で採り上げました)。国土面積が日本の10分1という小国にもかかわらず、最先端の農業技術を開発し、今や世界第2位の農産物輸出大国へとなりました。
そのオランダの有力企業が今最も力を入れているのが中国進出、そしてその先には日本です。オランダ政府も支援し、その成功経験とノウハウを用い、中国の農業を変えようとしています。一方、農薬の使い過ぎが社会不安さえ呼び起こしている中国。政府も後押しして農業の近代化を目指す中国で、今、IT技術を駆使したハイテクハウスの栽培が広まりつつあります。土を一切使わず、各種センサーで状況を把握し、パソコンで生産管理をする野菜工場です。特に熱心なのが農業への新規参入を狙う畑違いの企業だといいます。
ハイテクハウスで栽培された野菜は基本的に無農薬。普通の野菜にくらべ5倍程度と高い価格にもかかわらず、所得水準も上がり食の安全を大切にする消費者が増えてきた中国の都市のスーパーでは、先行して取り組んだ事業家が育てた無農薬野菜の人気がウナギ登りの模様です。
今のボトルネックはハイテクハウス設備費用の高さ。特に水を循環させる機器、温度調節するエアコン、無人で苗を植える機械などなど、様々な設備や機能があるわけですが、中国の農業事業者には必ずしも使いこなせないし、不要な機能もあると現地の社員は考えたそうです。その意見を本社がくみ取って出来上がったのが、よりシンプルで安価な中国市場向けのシステムです。これが今、中国の企業向けだけでなく個人の大規模農家にも関心を呼んでいるのです。
計画が進めば、質のいい野菜が安価で大量に、中国、そしてアジア、いずれは世界じゅうに流通するようになります。何と言っても土地の広さでいえば桁が違う中国です。そしてきっと東南アジアや韓国でも導入が進むに違いありません。
農業を「輸出産業」へと変換を図りたい日本にとっても大きな脅威であると同時に、日本も自国の技術にのみ拘らずにオランダの経験と技術に学ぶべきです(実際、林農水大臣がオランダの現場視察に行った様子もちらと映っていました)。定年を迎えて時間が余ってしまう人は大量に増えます。その人たちをこの仕組みに引き入れ、農業のコストを下げ、生産性を上げることを目指すべきと感じました。さもないと、JAという化け物組織に食い物にされて高コストのままの日本農業は先細りのままです。今こそ踏み出すときです。