ウルトラファインバブルが産業構造を変える!?

ビジネスモデル

直径ナノレベル~0.1ミリほどの微細な泡を液体に注入すると、信じられないような効果が生まれることが判明しつつあり、実際に様々な産業に革新が起こりつつある。これをウルトラファインバブル(極小の泡)と呼んでいる。半年以上前に、たまたま別の展示会のついでに覗いた会場で、小生は初めて知った。光触媒と並ぶ日本発のイノベーションであり、世界を変え得る、注目すべき技術だ。

本日、10月6日(火)に放送されたNHK「クローズアップ現代」で「“小さな泡”が世界を変える!?~日本発・技術革命は成功するか~」というタイトルで、ウルトラファインバブルを採り上げていた。実は同じNHKで数日前にも同じテーマで「“ファインバブル”がビジネスを変える!」というのをやっていた。それだけ注目が高まってきたのだ。

極小酸素は養殖魚や農作物の成長を促進し、魚のサイズを2倍にまで伸ばす。極小窒素を水揚げした魚に使えば、雑菌の繁殖を抑え、食品の保存期間を5倍に延長させる。界面活性効果で工業製品の洗浄力は薬品を上回り、最新医療ではウィルスや細菌を破壊、一部高温状態にすれば醸造・発酵にも活用できるなど、といった夢のような効果が確認されつつある。

当然ながら元々は水と気泡に過ぎないので、毒になる可能性は限りなく低いし、環境負荷の面でも心配する必要はまずない。環境に優しく、低額投資で応用が広がる、筋のよい技術なのである。

日本で20年ほど前から研究が始められ、最近一気に実用化が進んだ。開発の主体となっているのは地方の中小企業や大学だ。中でも高知県は、漁業や農業など1次産業の分野で活用が先駆けて進んでいる。

きっかけは、VTRで紹介した魚の養殖業者が、生産減などの課題を解決する方法がないかと、地元の研究者の秦准教授に相談を持ちかけたことだ。その相談を受けて、それまで微粒子などの研究をしていた秦准教授は、本格的にファインバブルの研究に乗り出し、多くの実績を残してきたのだ。

高知県もファインバブルの可能性に注目していて、1次産業だけでなく、ほかの産業にも活用していこうと全面的に県を挙げてバックアップをしているところだという。

今や国際標準作りへ向けての全国の連携も始まっている。日本が独走する「バブル革命」、その成果をビジネスにまでつなげることができるかどうかは、往々にして欧州だけで決まりがちな国際標準づくりにおいて日本の関係者が主導権を取ることができるか否かである。大いに期待したい。