日経ビジネス主催による「アジア会議2012 徹底解説タイ」に参加した。
http://business.nikkeibp.co.jp/nbs/nbsemi/asia/121116/
日経ビジネス誌の前宣伝によると「本セミナーではタイに進出する際に、事業の責任者・担当者がおさえておきたいタイの基礎指標から、消費者動向、販売チャネルなどの最新事情、パートナーの探し方、人材戦略、財務・会計などのファイナンス戦略…のポイントを実践的に学びます。日系企業の成功事例を紹介しながら、その市場戦略を分析、タイ参入への戦略と実践ノウハウを先行する企業の担当者や現地事情に精通する専門家達に語っていただきます」とのことだった。
結論からすると、幾つかの点で期待外れだった。
まず第一に、ミネベアやファミマなど、大企業、しかも随分前に進出している企業のみが紹介され、今進出を検討している企業、中小企業には参考にならないのではないか。なんといっても日経BP社の選ぶ講師は(大田区のOTP以外)大企業向けに偏りすぎている。
次に、成功事例ばかりが取り上げられている。失敗例や気をつけなければいけないことについて、あまりに触れなさ過ぎた。そのためタイ未進出の多くの方々が誤解したり甘く考えた恐れが大きい。現地採用の従業員や幹部社員に横領や使い込みをされる話も一部の講師から出たが、あたかもごく例外であるかのような言い方だった。親日的で「微笑みの国」ではあるが、中国や他の東南アジア諸国と基本的には同じで、従業員の何割かはチャンスがあれば個の利得を図るため罪を犯す。それだけダブルチェックが必要なのだ。また、ミネベアの現在の離職率は平均よりも1桁低い。あれをすぐに達成可能だと誤解すると失敗する。大概の日本企業が手間暇かけて幹部候補生に教育投資をした挙句、いざこれからという段になって転職されてしまい、ほぞを噛んでいる。こうした事実があまり語られないのはなぜだろう。
3つめに、成功要因として「適切な現地パートナーの重要性」には言及されていたが、ではそうした「適切な現地パートナー」をどうやって見つけるのか、または逆に「こういう連中には気をつけないといけない」という肝心な情報はほとんど伝えられていなかった。小生はアジア進出をサポートする側なので、そうした情報を入手する術がある。しかしこの会議に参加している大半の企業担当者はそうした情報をこそ求めているのではないだろうか。
最後に、会議のあとの(追加有料料金での)懇親会こそが最も大切だと思って参加したのに、これまた少々期待外れだった。「進出済の企業」がむやみに多かったこと、時間が短かったため十分に名刺交換ができなかったこと、アルコールなしで料理も少なく凄く割高だったこと、等々。
今後、日経BP社のこうしたイベントには慎重になろうと思っている。