11月2日(日)に放送された「NHKスペシャル」は「医療ビッグデータ 患者を救う大革命」でした。ICTベンダーの熱意にもかかわらず多くの人々に「胡散臭さ」を感じさせる「ビッグデータ」が、医療の現場で本当に人々の役に立っている姿を伝えてくれました。
番組がまず挙げたのは米国の病院の実例で、心電図や血圧計・呼吸モニターなどが記録する膨大な情報を監視し、病気が発症する前に予知するシステムでした。新生児、特に未熟児は生まれた直後に様々な感染症で死亡するケースが多いのですが、発症してから検査しても対処が間に合いません。多くの新生児の心電図などありとあらゆるデータをリアルタイムに分析することで、発症前の「予兆」を捉えることが可能になったのです。これは凄いことです。
他にも応用法として、人が一生かかっても読み切れない量の文献データをコンピュータ上に記憶し、人工知能が最適治療を提示するというものもあります。加速度的に向上するデータ処理技術を活用して、これまで夢とされていた医療が実用化されようとしているのです。
さらにビッグデータは、医療の効率性を高め、医療費の増大を抑える切り札としても期待されています。患者の「投薬」「手術」「検査」など治療データのほか「病室の気温」「食事量」など膨大なデータを収集することで可能になります。
例えば、ある病院では、ビッグデータの分析によってどういうタイミングからならリハビリを始めることができ、それが回復に有効だという実証データを積み重ね、実際に適用することで前立腺がんの患者の入院期間を半減させることに成功しました。これは日本でも適用できる考え方で、今後迎える超高齢化社会において、データによる医療の効率化がどこまで可能なのかを示唆するものです。
医療の現場で、いま“ビッグデータ革命”が始まっている、ということを実感できる番組でした。日本でも、ビッグデータをはじめとするICTを積極活用する時代になりつつあると感じます。
PS ちなみに、この番組を観ていて、小生が関与するはずだったあるプロジェクトでの有力な技術仮説を思い付きました。しかし残念ながら、そのプロジェクトは担当チーム多忙につき、急遽キャンセルになってしまいました。世の中に役立ち、そのクライアント企業にとっても有望事業に育つ可能性があったのに、残念です。しかも準備期間が長く、それらは全て「ただ働き」に終わってしまいました。トホホ…