私が参加しているABEMAの討論番組『For Japan~日本を経営せよ』では毎回の収録(翌月の放送4回分)において一つのテーマが決まっている、というお話を以前にもしました。
今週は、私が参加した8月放送の第17~20回の「少子化対策とは経営である」についてどう考えたかを、事前アンケートの質問とその答という形でお伝えしたいと思います。
Q1: 本年(2024年)は日本政府が「少子化」に対して策を講じ始めてちょうど30年です。今まで累計65兆円の予算を注ぎ込みました。結果、最新の結果ではここ8年連続で少子化は悪化の一途。ついに合計特殊出生率は1.20まで下がりました。
経営者として政府に対してどう感じますか?多額の税金を納められていると思いますが、少子化対策に65兆円を使われていて今の状況…ご意見をお聞かせください。
A1: 「少子化」は国の一大事で、放置すれば社会が壊れかねない事態ですので、国家予算112兆×10年間≒1120兆円の1/8程度使ってもいいくらいです。累計65兆円はそのまた約半分なので、金額的には問題ありません(中身は次のようにダメダメですが)。
しかしながら、岸田政権の「異次元の少子化対策」はすべて「既に子育てに入っている人たちの今の困り事を解決してあげよう」という発想からの施策でしかありません。
既に子どもを一人育てていて「もう十分」と考えてしまいがちな夫婦に「(先々の経済的余裕に自信が持てるようになれば)二人目の子どもを産み育てるのも悪くないな」と思ってもらう可能性を高めるくらいの効果しか見込めません。
やらないよりはずっといいが、対象と効果が非常に限定されるため「焼け石に水」です。その割に累計65兆円は費用対効果が悪すぎます。
しかも岸田政権が「既存子育て集団にだけ焦点を当てている」構図は、確信犯的です。1)「未婚・晩婚化」と「晩産化」への対策という最も本質的な少子化対策はあまりに根が深くて「打つ手なし」と考え、既存子育て層にだけ焦点を当てて「やっている感」を出せばいい、と考えている可能性が高いのです。
それに2)結婚して所帯を持って子どもを増やせるようになったら保守化しますから、自民党に理解がある層になる可能性が高まります。だから選挙対策に過ぎないのです。
(以下、次回に続きます)