『For Japan』シリーズ(8月放送分)「少子化対策とは経営である」#18

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『For Japan~日本を経営せよ』の「少子化対策とは経営である」テーマについての私の考えの続きです。

A2: 「出生数=出産適齢期にある女性数×出生率」です。

少子化の最大の原因は、この母数である「出産適齢期にある女性数」が少ないことです(マスコミの注目は常に出生率ですが)。

与党と厚労省、そして識者の多くが、「団塊ジュニアが適齢期になったら結婚数が加速度的に増え、したがって子どもも勝手に増えるだろう」と思考停止して長年まったく無策だったため、母数=若い女性がどんどん減ってしまったので、仮に出生率が劇的に改善しても追いつかない事態に追い込まれているのです。

次の原因である出生率を悪化させている直接因子を分解すると4つに分けることができます。すなわち①未婚率の上昇、②晩婚化の傾向、③結婚してから最初の子どもを生む年齢が遅くなる傾向、④子どもを一人生んだ母親が2人目以降を作らない傾向、の4つです(②③④は密接に関係します)。

先に述べたように、岸田政権の少子化対策はこの④だけ見ていますが、④はむしろ②③の結果という側面が強いのです。

ここで①②③を悪化させている主要因が3つあります。それは、

1)男性優位社会において(結婚もしくは子作りを後回しにして)キャリアを優先して追求しようという20~30代女性の人生設計上の選択

2)経済的な不安が大きいため結婚に踏み切れない、という若い男女の経済的事情(そのまた主要因は主に女性における非正規雇用の広がり)

3)東京をはじめとする大都会への(特に若い独身世代の)人口集中と都市生活の高コスト

の3つです。

1)と2)の2グループの人たちは年齢は近いけど、社会での層が異なりますので、別々に対処していく必要がありますが、そもそも前者は当人たちの選択なので、「解決」はできません(手段としてせいぜい卵子凍結保存技術の発達ぐらいだが、かえって晩婚化・晩産化を加速させる恐れすらある)。

3)は両方の層にまたがり、かつ1)および2)と結びついて出生率悪化を加速する要因となっています。

(以下、次に続きます