『For Japan~日本を経営せよ』の「少子化対策とは経営である」テーマについての私の考えの続きです。
Q3: 経営の観点から言うと人材が減り続けているということになりますが、少子化は何をもたらすと思いますか?また貴社は人材確保にどのような策を講じていますか?
A3: 少子化は企業経営に対し3つのことを迫ります。
- より高い給与を示して他社の人材獲得を狙う動きが露骨になり、多くの業種で転職がさらに一般的になります。現在の従業員が来年もいてくれるとは限りません。
- 人件費・労務費が全般的に急上昇します。人海戦術的な作業を委託している外部コスト(物流費、警備費、建設費など)も加速度的に上がります。いずれ米英のような人件費ドリブンのインフレが現実化します。よほど付加価値を継続的に上げないと利益は生まれません。
- 賃金を上げ続けても(ごく一部の超優良企業以外は)必要な頭数が揃わなくなります。働き手がいなくなるせいで倒産を余儀なくされる会社も増え、生き残った会社は無駄な業務をする余裕がなくなると同時に、一段上の省力化投資(IT、ロボット化など)を余儀なくされます。つまり業務見直しが継続的かつ大胆になります。
これらの少子化の進行の結果、長期的にはよい社会になると思っています。
人材の価値は各段に上がり、転職市場はもっと普通になるので、「せっかく入った会社だから辞めるのは勿体ない」と理不尽を我慢する必要がなくなる訳ですから。ブラック企業やハラスメント横行企業、賃金を上げられない企業はどんどん淘汰されて、人を大切にするまともな企業しか残らなくなります。
また「弊社の人材確保策」については、知名度がないので今でも人材確保に苦労しています(策としては有力筋からの紹介くらいです)。
その反面、「少子化」自体にあまり影響は受けません。①少数精鋭主義なので、頭数を確保するという発想がない、②弊社の仕事は特殊かつある程度の経験を要するため、元々若手の採用は想定していない、という2つの理由からです。
(以下、次回に続きます)