『For Japan~日本を経営せよ』の「健康とは経営である」テーマについての私の考えの続きです。
※よろしかったら『For Japan』の見逃し配信をご覧ください(ABEMA本編は放送が1回30分と短いせいで、肝心な発言はカットされ、変な箇所だけ放映されるという無茶苦茶な編集がされるので、見て欲しくないです)。
6月期 #11 【1日8時間改革は是か否か】
今回は私のVoiceの番でした。お題は★「ワクワクする仕事をさせよ!」。
こんなことを考えていました(実際にどこまで語れたかは部分的にしか覚えておりませんが、改めてこれが今回のシリーズで最も主張したかったことです)。
日本における労働時間短縮への動き自体は先進国としては当然のことで、むしろ遅すぎたくらい。
日本企業の多くで問題だったのは、「拘束時間が長いだけで密度が低い」働き方があまりに普通で、低い労働生産性にメスを入れるのが遅れたこと。そのため、賃金は上がらず、消費が低迷し、デフレを招き、平成不況が深刻化・長期化した。
だから働き方改革の一環として労働時間の短縮に多くの日本企業が取り組むようになったのは、「労働生産性を上げなきゃ賃金は上がらないんだ」という経済原則に多くの人が気づくきっかけになったという意味で、よい動きではある。さらにその手段としてIT化・デジタル化が否応なく進むことで、世界の先進国に比べ2周遅れだった日本社会が全体として効率的になる方向に向かっていることも、よいこと。
実は長い拘束時間と相まって従業員の心身を蝕むのが、「嫌々ながら行う」とか「不毛と感じる」業務。要は「つまらない仕事に多くの時間を捧げているのに報酬は十分でない」と感じると、人は大きなストレスを覚え、心身の健康を損ねやすくなる。
だから単に労働時間を短くするとか賃上げするだけでなく、仕事の中身を「やり甲斐を感じる」「ワクワクする」ものに充実させることが重要。マネジメントは、従業員にそうした仕事をしてもらえているのか、そのための環境を提供できているのか、常に自省する必要がある。
それにしても、今の働き方改革は「労働時間」の短縮にばかり注目が集まっていることに私は不満。
労働生産性=付加価値/労働時間なので、本来の目的である「労働生産性向上」のためには、分子である「付加価値」の拡大にこそ注目すべき。つまり、時間当たりのアウトプットの質を上げることこそ、今後日本企業が真剣に取り組むべき課題。
そのためには同じ仕事を短い時間にできるように作業能率を上げること以上に、取り組む仕事のテーマや対象をよく考え、同じ時間でなるべく付加価値の高い仕事、つまりいかにすればより儲かるか、より売れるかに集中すべき。
『働き方改革』は、大きくいうと①効率向上による長時間労働の是正、②ダイバーシティ推進、③創造性開発によるイノベーション推進の3つに、取り組みテーマが分かれる。多くの日本企業がまず取り組んだのは①「効率向上」だが、そこで留まってはダメ。
これから本当に必要となるのは「創造性開発」によるイノベーションの推進。
従業員の創造性を高めることができ、それを付加価値の高い仕事に結び付けることができれば、従業員は働き甲斐をもってワクワクできる仕事に取り組むようになり、従業員の心身の健康は格段によくなる。そしてその時、労働時間の多寡は大した問題ではなくなる。
これを伝えられたらベストなので、今週はこれで終了とします(本当は#12もありましたが、大した話にはなっていないので)。