NHKの「プロフェッショナル」班制作のドキュメンタリー番組「TEAM 最高の自分になれる場所」の「美容家電の女たち」という番組を観た。非常に面白かった。
パナソニックの美容家電のマーケティングチーム7人の話である。ターゲットの生活者と同じ、全員「働く30代女性」である。等身大の悩みを解決するためのニーズを突き詰めて考え、広告宣伝と商品企画へのフィードバックを続けて改善させているのが伝わってきた。
7人のうち部署が同じなのは2人だけ。つまり6部署7人である。上下関係はなく、マーケティング担当の人がリーダー役を務める。週1回のランチミーティングが定例の打合せで、基本的にはあと1週間の間、それぞれが自分の役割を懸命に果たす。美容家電に関するマーケティングはこのチームが専属かつメンバー固定なのである。
こういった体制は、男性天下のパナソニックの社内では珍しい模様である(多分、男性だけでもこうしたチームはないのではないか)。スチーマー以来、連続してヒットを飛ばしている実績が、こうした社内でも特異な体制を許させているようだ。
それだけ人間関係が強固で、信頼感がベースになって本音をぶつけ合いながら仕事が回る様子が伝わってきた。1人がコメントしていた。「この仲間だからできる」と。まさしくチームである。会社では、意外と同年齢の男のチームだとこうはいかない。妙なライバル心や嫉妬心が出てしまい思わず足を引っ張り合うものだ(昔、優秀なはずの部下同士がそうした感じになってしまう場面を時折見た)。出世欲のない30代女性のチームならではのよさではないか。
番組ではそれぞれの女性のこのチームに出会うまでの葛藤、子育てとの両立など今向き合っている悩み、そして会社の論理とのせめぎ合いなど、色々な角度で、このチームがスーパーウーマンではなく普通の女性のチームであることを浮かび上がらせていた。こうしたチームに恵まれたことを誇らしげに語る彼女たちの表情は素晴らしかった。