政治テーマを続けよう。最近ビジネス雑誌で読んだ、さわかみ投信会長・澤上篤人氏の「政治家が今すべき5つのこと」に大筋で賛同する。
1.消費税は社会福祉税に切り替えて、毎年2%ずつ引き上げて15%にまでもっていく
これにより少子高齢化による社会福祉関連費を賄う。食料などは軽減税率を適用。
2.国民共通番号の導入を急ぐ
これにより税の徴収漏れや生活保護の不正受給などを一掃。クロヨンと呼ばれた税負担の不公平感も解消できる。
3.法人税を20%に引き下げ、代わりに既得権益化している税優遇を大幅に抑制する
起業を促進、事業者には適者生存を徹底させる。
4.規制の大幅緩和と民営化を推し進める
結果として行政の簡素化と地方分権化を実現する。
5.社会福祉税を15%に引き上げ、年金など社会保障費の財源を恒久的に確保する
現行の国民年金保険積立制度と運用事務は全面的に廃止でき、厚生労働省関係省庁の人件費など財政負担を大幅に削減できる。現有の公的年金資産(170兆円前後)は国庫に入れて財政赤字解消に(現金は予算に組み入れ、国債は一挙に償却、株式は5年程度かけて売却)。
方向性としては全くその通り。敢えてコメントすれば、次の通り。
1の重要なポイントは目的税化するところである。へたに消費税という安定財源を今の政治家や官僚に与えれば、またぞろ整備新幹線や農業者戸別所得補償制度に代表される選挙目当てのバラマキにまい進するに違いない。
2の「国民共通番号」(マイナンバー)のために新しい番号やシステムを導入する法案が今国会に提出されている(審議入りはしていない)。しかし本当に必要なのだろうか。なぜ住基ネットで使われている住民票コードと既存カードじゃだめなのか、誰も答えてくれない。特定産業だけが喜ぶ、全国での壮大な2重投資は阻止すべきだろう。
4だけでは役所の関連団体がむさぼっている利権構造はなくならない。かといって政治家主導の「事業仕分け」では、力量不足を露呈済だ。やはり役人の手口をよく知る元役人を敢えて「事業仕分け」プロジェクトにアサインして、2年ほどかけて根本的かつ強制的に行政の無駄を切って欲しい。その過程で「規制緩和(撤廃)」が車の両輪になろう。
5は原則賛成だが、年金機構の職員や厚労省の役人が株式売却をうまくやってくれるとは思えないし、その委託先に厚労省のOBが選ばれて私腹を肥やすだけに終わるのが怖い。さて「伝説の天才ファンドマネージャー」みたいな人はいるのでしょうか、澤上さん?