6月24日(月)放送のワールドビジネスサテライト(テレビ東京系)の恒例「技あり!ニッポンの底力」で紹介されたのが、カット野菜洗浄機のトップメーカーである細田工業(大阪)。全国の野菜工場での稼働シェアでは7割という(別情報では国内シェア50%超)。
同社は1946年の創業で、様々な加工機械を製造。現在はゆで麺製造ラインとカット野菜洗浄機が売り上げの約半分を占め、モヤシ洗浄ライン、冷凍ブロック解凍ラインなども主力。12年前半から受注が好調で工場はフル稼働状態。2012年6月期の売上高は14億7000万円(前年比14%増)、経常利益率6.9%。13年度の増収増益もほぼ達成という好調ぶりだ。
同社の強みは「水を操る」技術のようだ。水槽内にあるスクリューで渦を作るのに加え、水槽上部のノズルからの水噴射を組み合わせることでらせん状の水流を作る。対象によって水流の具合は変えているようだ。レタスなどの葉物野菜の洗浄は(直線的な動きに比べ)水の中にいる時間がより長いために効率的に汚れを落とす上に野菜同士の接触がないために野菜を傷めにくい。
肉やエビなどの冷凍ブロックも約20分間水中で動かしながら解凍する(味の素冷凍食品と共同開発、特許取得済)。「食材から水分や栄養分がドリップとして失われたり、逆に水分を吸いすぎたりすることがほとんど無い」(細田社長)のだという。確かに凄技である。混入異物も水流で撹拌、分離し、水があふれ出るのを利用して排出する。「バッチ式解凍ラインで3時間かかるところ30分程度で連続処理できる」(同)ため加工効率にもメリットが大きい。
番組では紹介されなかったが、歩留まりの良さも同社の機械の特徴。麺の投入、ボイル、冷却、計量を一貫できるゆで麺製造ラインは、麺をまとめて茹でた後に計量する方式で、一玉ごとの計量精度を高めて無駄を減らしているそうだ。モヤシの根切り装置では独自の根切り機構と、モヤシが機械外にこぼれにくい構造で、根切り確率90%以上、歩留まり率98%以上を実現しているそうだ。
番組では韓国企業や台湾企業からの視察も相次いでいることを伝えていた。老婆心ながら韓国企業には気を付けたほうがよいと思った。機械導入を検討している食品メーカーの視察団の中に競合になる機械メーカーのメンバーが混じっていても不思議ではない(韓国企業は時折こういうことをやる)。同社も過去、かなりの試行錯誤を繰り返しているので、競合が追随してもすぐには模倣できないと考えているのだろうが、既に完成した先行製品をリバースエンジニアリングすることで(韓国企業はこれが得意)、意外と速く追いつくものである。