「個室」ボウリング場に見る経営者の優秀さ

ビジネスモデル

先日、録画してある中からTV東京「ワールドビジネスサテライト」で面白いものを観た。ある大阪のボウリング場の取り組みが紹介されていた。全国で競技人口が低下していると言われながら、行列が出来るほど人気があるボウリング場だそうだ。

投げるスペースはオープンだが、座るベンチのある場所は左右を黒い壁で仕切られていて隣の視線が遮断され、「半個室」状態になっている(最近飲み屋にも増えてきたのでイメージできると思う)。投げて戻ってきて仲間と盛り上がる、小さな子供が騒ぎはしゃぐ、そうしたプライバシーが確保されるという。確かにニーズに応えており、効果的に思える。
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大きなグループでプレイするときには仕切りを仕舞えるようになっている。それと相場が数百円なのに1ゲーム100円!とかなり安い。それに対して重要なポイントだが、飲食のワン・オーダーがマストになっている(カラオケ店の感覚か。店には厨房があって本当に料理している)。これによって店の売上はかなり底上げされ、利用者は割安な料金で家族や、歓送迎会や2次会でも使えるという訳だ。消費者ニーズに応えながら勘定も合うのである。

多いときには3時間の待ちとなるほどの「大ヒット」となっているそうだ。多分、今後各地でこのタイプのボウリング場が増えるのではないか。このボウリング場の会社は現在39会場まで拡大しているそうだが、一時は廃業も検討したという。しかしこの起死回生のアイディアに辿りついてからもきちんと仮説検証をしたことに感心した。

すなわち、一つのボウリング場の中で1階に普通のレーン、2階は「個室」にして運営したところ、「個室」から予約が埋まっていくのを見て、この方式の成功を確信したそうだ。思いつきを検証せずに展開して失敗する経営者が多い中、斬新な着想と収益モデルを揃えただけでなく、科学的なアプローチをとった点でもこの大阪の経営者は非常に秀逸だと感じる。