「ブラックフライデー」なる苦肉の策

ビジネスモデルブログ

いろいろな会社や店から郵送DMや電子メールでのDMが毎日届きますが、この1週間くらいは幾つもの小売業者から「ブラックフライデー・セールス」なる文言でのセールスDMが自宅と自宅のパソコンによく届いていました。あなたの処へも届きませんでしたか?

 

この「ブラックフライデー」なるもの、あまり日本ではなじみがなかったイベントですよね。

 

ウィキペディアによると、「ブラックフライデーとは、11月の第4木曜日の翌日にあたる日のことである。小売店などで大規模な安売りが実施される。アメリカ合衆国では感謝祭の翌日は正式の休暇日ではないが休暇になることが多く、ブラックフライデー当日は感謝祭プレゼントの売れ残り一掃セール日にもなっている」とのことです。

 

なぜ「ブラックフライデー」などと呼ぶのか、ちょっと不思議ですよね。だって「ブラックマンデー」を連想させ、ちょっと不吉な語感があるのに、それをまるでバレンタインデーみたいにセールスのイベントとして使うなんて違和感ありません?

 

実は「ブラックフライデー」の「ブラック」は黒字の「黒」。米国ではこのイベントでのセールスのお陰で黒字化する小売業が多かったので(英語でも同じ黒なのです)、こう名付けたのだそうです。仲間内で「おい、これでクビにならずに済むな。うまくいけばボーナスだって期待できるぞ」と声を掛け合っていた雰囲気が伝わってきますね。要は、元々は業界用語だったのです。

 

それを日本の業界も最近、真似し出した訳です。中国の通販業界が「独身の日」という独自のイベントをつくり出し、凄い売上につなげていることはご存じだと思いますが、日本の小売業界は米国のものを借りてきちゃった訳ですね。

 

実は日本でもかなり前から、一部の小売業は「ブラックフライデー」セールスというのを実施していたのですが、業界の大勢とはなっていませんでした。でも日本の小売業全体での事情が変わってきたのです。

 

ご存じの通り、長い不況がようやく終わったと思ったら、近年は通販(アマゾンや楽天、ヤフー、ゾゾタウンなど)に随分客を奪われてきました。そのため大半の小売で少しずつ年末セールスの前倒しが進んでいます。その一つの動きとして、11月の終盤に数日から1週間程度のセールスイベントが設定されており、それを「ブラックフライデー」セールスと称することにしたというのが実態です。

 

要は年末セールスの前倒し、もしくは前哨戦なのです。それを目新しく打ち出すために「米国でも流行っている」という触れ込みで、「ブラックフライデー」セールスとして大々的に宣伝しているという訳です。

 

でも今年からは本家・米国産のアマゾンが本格的に「ブラックフライデー」のキャンペーンを打ち出しているようです。日本の小売業はどう対抗するのでしょうか?